一度だけ

本年度、当山報恩講法要は、去る5日に無事にお勤めすることが出来ました。ご協力をいただいた役員、婦人会の皆さま、ご参拝をいただいた皆さまに篤く御礼を申し上げます。コロナ禍以来、取りやめていた多くのご法中をお招きしてのお勤めとお斎を再開し、久しぶりに賑やかな法要となりました。昨年帰国した姉、現在東京在住である娘と息子も揃い、我が家も三世代勢ぞろいでお参り出来たことは大きな喜びとなりました。

滅多にないことは、特別な感じが増すものです。

少し前のことになりすが、前住職(父)と二人連れで谷川岳に行ってきました。

このところ足の悪くなった父に、車内から紅葉が眺められれば良いだろうと向かったのですが、到着したら「ロープウェイに乗る」と言いだして・・・

ロープウェイが足の不自由な人にも優しいフラットな作りであったことも幸いし、手を添えながら、なんとか頂上まで行くことが出来ました。

頂上から二人で美しい景色を眺めながら、「あぁ、父とこの景色を眺めるのは、きっとこれが最後だな」と思ったことでした。

 

しかし、ふと、以前、築地本願寺の掲示板に「米寿もニ十歳も一度だけ 人生初事ばかりなり」とあったのを思い出しました。旅行や記念日、特別なことがあるなしに関わらず、この今、この瞬間は一度だけ。一度だけであるなら、実は毎日が、今が、いつだって最後で特別。その滅多にない特別をきちんと味わい、大切に、感謝の日々を送ってまいりたいと思いました。